子供の頃、広島の太田川で釣ったハゼは母親がお正月に食べる昆布巻きにしていましたが、大人になってからは天ぷらか唐揚げでビールのお供になっています。
そんなハゼが爆釣した場合は、もっぱら氷締めです。
この記事では、詳しい氷締めの方法と季節ごとの釣り方などを扱っています。
魚を締めるとは
釣った魚を新鮮に保つ技法として「締める」というものがあります。私がこの技法と出会ったのは学生時代の漫画からでした。
その漫画ではある程度の大型魚の首辺りに傷をつけて血を出すというものでした。この時の技法は「活け締め」と紹介されていましたね。
最近ではより進化した「神経締め」なる技法もあります。こちらは必殺仕事人のようなイメージでなかなか職人技です。
締める目的
締めの技法には二つの目的があります。
一つは魚を即死させ、無駄に暴れさせないことです。魚は逃げたいだけですが、暴れるほどにその身にストレスがかかります。
すると魚の身にある旨味成分(ATP)が減少してしまいます。また単純に暴れると人間と同じく打ち身や打撲のようになり美味しくなくなるんです。
二つ目は血を抜くことです。これは魚に限らず動物も同じですが、死んだ生き物の血は腐敗の原因になるからです。
基本的にはトドメと血抜きは直結していると考えましょう。トドメは動物でいう頸動脈を切り血抜きします(魚は種類により多少かわります)。
トドメを刺した直後はまだ心臓が動いているので、頸動脈を切ることで心臓がポンプの役割をして血を出してくれます。
この作業をするかしないかでは肉の旨さが大きく変わるため、必ずやることをお勧めします。
氷締めの方法
今回ご紹介している「氷締め」は締める技法の中でも非常に簡単なものです。軽く紹介した「活き締め」や「神経締め」のような技術を必要とせず誰にでもできます。
また氷締めは血を見ることもないので安心です。
活け締めで紹介した「血が臭み」は、ハゼのような小さな魚たちであれば問題ありません。
氷締めは、氷温に近い海水に生きた魚をそのまま入れて凍死させるという方法です(氷温は0℃以下で氷始める温度です)。
ですから釣り場についたら、まず次に紹介する段取りで準備してから釣りをはじめましょう!
クーラーと氷が必須
氷締めをするならば釣り場に行く前に準備するものがあります。それがクーラーボックスと氷です。
クーラーについては、どれくらい持って帰るかによるので「これだ!」とは言えませんが、5人家族でも10リットルのクーラー一杯の小魚は食べきれないように思います(処理が大変)。
まあ、それでもあれば嬉しいのでそこから考えてみると、氷を入れる部分を確保するとして、15リットル程度のクーラーボックスを用意しましょう。
家族が少ない場合などは考慮して下さいね。
そして氷は釣具屋などで買う板氷が最適です。クラッシュタイプは溶けやすい=冷えが持続しないので却下です。
前もっての準備ができるならば、ペットボトルに水をいれ凍らしておいてもいいです。500mlなら2~3本、2Lなら一本で十分です。
ちなみにアウトドアで使うような超強力な保冷剤(板)などは魚が凍ってしまう場合もあるので、使用するなら工夫が必要です。
現場で海水を調達
クーラーと氷の準備ができていれば、次は海水の調達です。このとき必要なのは水汲みバケツです。
水が汲めれば何でもいいんですが、やはり釣具屋などで扱われている専用のものが優秀です。
専用のものは折りたためたり、高さがあったり、引き上げ用の強度のある紐ついていたりします。
地味な存在ですが、それ専用のものは使い勝手がいいのでお勧めですね。
とくにはじめていく漁場では必須になることも多いので準備したいところです。
氷締めの注意点
氷締めの注意点としては、強力保冷材などで凍らさないようにすることくらいです。普通の氷でれば凍ることはなので、魚を入れるだけです。
あ、氷締めで海水を利用するのにはしっかり理由があります。それは海水に含まれる塩分が必要なんです。
真水だと浸透圧で魚に水が入りふやけちゃうんですね。
これは間違いなく注意点でした。
氷締めの手順
漁場についたらまずクーラーボックスに海水を入れます。海水量は、最初は氷を寝かせた高さくらいで大丈夫です。
これをやり終えてからベースキャンプを整えましょう。椅子をだしたり、釣り具を用意したりして、最初の一投から一匹釣れるくらいにはそれなりに冷えてきます。
30分経てばかなり冷えてくるので、そこから魚の沢山釣れてくるようであれば少しずつ海水を増やしていきましょう。
しっかり釣果があがり帰るときには、海水は自然に返しましょう。その時、できれば魚たちは水気をきってジップロックなどに入れましょう。空気も抜けるだけ抜くといいですね
季節で変わる釣り方
ハゼの釣れる時期は地域により多少のズレはありますが概ね5月から翌年の1月頃までとなります。
ハゼは「年魚」といって一年でその一生を終える魚です。ハゼの雌は12月から1月頃に産卵をし、その子供たちが5月頃には釣り対象のサイズに育つんですね。
釣りの仕掛けの基本は、ハゼの成長期である5月~8月頃までのものと、9月以降の成長した大物を狙う仕掛けがあります。
5~8月のハゼ釣り
7月や8月はハゼも成長期になっているのでサイズも10㎝オーバーとなり、天ぷらに最適なサイズになります(小さいものは唐揚げが最高!)。
この頃のハゼは食欲旺盛なので数を釣るには最適です。
狙い目の場所
ハゼは海でも釣れますが、この時期は汽水域、河川と海が交わっている場所を狙いましょう。汽水域といってもハゼ釣りの場合は海から結構離れていても大丈夫です。
堤防などの「ザ・釣り場」でなくても、実はかなり穴場があるのがハゼ釣りなんです。
ハゼはゆるやかな流れの浅瀬、岩場よりも砂や泥を好むのでそういった場所があれば狙ってみましょう。
地域によりますが、鯉や鮒、手長エビがいるような河川にもいて、案外見える場所にいたりします。
仕掛け
この時期の仕掛けはオーソドックスですが、胴突きか脈釣りがいいでしょう。これらは魚がツンツン餌に興味をしめしたのか、食いついたかのアタリがわかる必要があります。
ですからハゼ釣りは簡単といわれますが、上手な人と初心者ではかなり釣果がかわる魚でもあります。
アタリがわからない場合はウキを使う方法もあります。ですが、ハゼの生息地は川底なのでウキからの距離を調節する必要はありますね(ベテランと一緒にいきましょう)。
大切なポイント
これらの釣り方に共通する大切なポイントは「誘い」という餌の動かし方です。
釣りで餌の動かし方と聞くとルアーフィッシングをイメージする方もいるかと思いますが、ここでは生餌をどうするかのテクニックで伝えています(ルアーでも「誘い」といいます)。
ちなみにハゼもルアーで釣れる魚ですが、個人的には生餌の方が釣れると考えています。そしてハゼの生餌といえばゴカイかミミズでしょう。
私の子供のころは、川辺でミミズを掘り出してハゼを釣っていました。しかも仕掛けは釣り人が引っ掛けていった針と糸で手釣りです。
それでも釣れるのがハゼなんです。当時は1~2メートルの見えるところにハゼがいて、ミミズの付いた針を投げ入れてミミズが生きているように引っ張って釣っていたんですよ。
いま思えば、あの頃の経験がいまの誘いのイメージに繋がった感じはありますね。
ミミズやゴカイがウネウネ、チョロチョロした感じを演出して誘いましょう。
9月以降は大型を狙う
9月以降になるとハゼも13㎝~15㎝程度まで大きくなり、住む場所も変わってきます。またここまで生き残ったメンバーですから多少なり釣るのも難しくなっています。
狙う場所
この頃のハゼはこれまでのような浅瀬ではなく、多少深い位置にいるようになります。これは秋になり水温の低下を感じたハゼが居心地の場所を求める為です。
水温が低くなればなるほど深い位置に移動しますが、9月頃で水温が高い場合は浅瀬にいる場合もあります。
※深いといっても2~3メートル程度です。
仕掛け
この時期は2~3メートルでも深い場所にいますから仕掛けは投げ釣り仕様になります。
胴突き釣り、脈釣り、ウキ釣りときて「ちょい投げ釣り」です。由来は「ちょいと投げる」からきているそうです。比較的初心者でも簡単な投げ釣りになります。
竿、リール、天秤付きオモリ、仕掛け(針)など必要になりますが、はじめての方は竿とリールがセットになったものを購入しましょう。
この時期もハゼは活発に動きますから、ポイントに投げられればサイズの大きなハゼも釣れるでしょう。
また、ハゼは同じような場所に集まる魚なので、一度釣れたら同じ場所に投げることをお勧めします。
12月以降はベテランに
12月以降はベテランの域に入ってくるので、はじめてチャレンジする場合は控えましょう。釣りは最初の釣果が大切だと思うので、沢山釣りたいじゃないですか。
まあ、これらは個人的見解です。ベテランさんに同行してもらって、釣れないといわれる時期に大型が釣れると嬉しいですからね(一人なら尚嬉しい)。
まとめ
ハゼは5月から釣れだし12月、翌1月までは釣りが楽しめる魚です。
お料理も天ぷらや唐揚げ、サイズが大きくなれば刺身もできるので嬉しいですよね(実家では昆布巻きでした)。
そんな美味しいハゼが沢山連れたら折角なので新鮮に持ち帰りたいものです。
その方法として「氷締め」を扱いました。
クーラーボックスと氷、専用の水汲みバケツとジップロックがあれば誰も簡単にできます。
是非お試し下さい!