この冬は日本海側で災害レベルの大雪がありました。
関越道で発生した長時間の立ち往生は、生死にかかわる事案だったと感じています。
幸いこの大雪で死者ありませんでしたが、長時間にわたって車中に閉じ込められた方々の心労は計り知れません。
この事案は高速道路で起こったため、支援がいきわたったのが不幸中の幸いでした(そこまでの経緯は人災といわれていますが…)。
しかし、これが個人の事故などで立ち往生した場合は非常に危険です。
この記事では、そういった雪山で立ち往生しない、もしくは、立ち往生してしまったときに必要な装備をピックアップしています。
雪道での基本装備
雪道を走る場合の基本装備として、当たり前ですがスタッドレスタイヤとスノーチェーンを準備しましょう。
ただ、これらは最初にご紹介したような大雪の場合は「装備していて普通」のアイテムたちです。
スタッドレスタイヤもスノーチェーンもない場合は、雪道を走ってはいけません。
というよりも、走れません。
これは四駆であってもです。
雪道に慣れていない人は、「四駆だから大丈夫」と考える人も多いようですが、雪道、舐めちゃいけません。
タイヤにグリップが無ければ、滑るときは滑ります。
普通の車よりはマシかもしれませんが、そこに過信がある場合は、プラスマイナスでマイナスでしょう。
誰もが知っているスタッドレスタイヤとスノーチェーンですが、雪道を走るには絶対に必要な装備です。
スタッドレスタイヤに交換
近年スタッドレスタイヤの性能は格段にアップしています。
スノーチェーンがあった方がより安心ですが、ある程度の雪道なら問題ありません。
程度としては、降ったばかりの良質の雪は走行可、シャーベット状でも走行できますが、雪の深さにより変わります。
凍結していても走行は可能ですが、斜面で傾斜がきつい場合は限界があります(昔はスパイクタイヤというタイヤがありましたが、現在は使えません)。
スノーチェーンを必ず装着したいのは、パウダースノーです。
粉雪のサラサラ雪のときはチェーンなどでグリップ力を高めましょう。
スタッドレスタイヤの寿命
スタッドレスタイヤの性能は高くなっていますが、その性能を遺憾無く発揮できる期間は短いです。
メーカーや使用頻度によって変わりますが、基本的にはスタッドレスタイヤの寿命は4年程度といわれます。
スタッドレスタイヤの履き替えの際には、グリップ力の源であるタイヤ溝の状態を必ずチェックしましょう。
タイヤ溝が50%以下になると現れる、スノープラットフォームが出てきたら交換時期になります。
このサインが出たからといって道路交通法違反にはなりませんが、
一度見逃すと事故を起こすまで見逃すことが多いようです。
スタッドレスタイヤという名前の丸坊主タイヤ使用しないよう気をつけましょうね。
スノーチェーンはトランクに
一般道の通行は、大雪でない限りスタッドレスで乗り切れると思いますが、大雪の予報や雪山へ出かける場合はスノーチェーンを準備しましょう。
スタッドレスタイヤの弱点であるパウダースノーや粉雪は、ウィンタースポーツには最高の条件です。
雪山を楽しむ、ウィンタースポーツを楽しむ場合は、スノーチェーンは必須ですね。
ちなみに、必ず使用するのであれば事前に練習しておくことを、強くお勧めします。
チェーンの装着に慣れていないと、体力も奪われますしストレスが凄いです。
※一度練習すると手袋やジャッキの必要性も体験できます。
車の寒さ対策
雪道を走行するためにはタイヤなど足回りが重要ですが、前もって整備しておく寒さ対策も大切です。
極寒の地域の方は当たり前にしている内容ですが、泊まりでウィンタースポーツに行くような場合は前もって準備しておきましょう。
冬用ワイパーが活躍
冬用ワイパーは、雪道での視界を維持するのに重要なアイテムです。
通常の雨用ワイパーに比べ、冬用ワイパーは雪が入りにくいように金具部分がゴムで覆われています。
また、ゴムが低温でも硬くなりにくい素材が使われているため、凍結のリスクも低減されています。
雪の降らない地域にお住いの場合はなかなか経験がないかもしれませんが、凍結するような地域の場合はワイパーが凍り付いて動かないことがよくあります。
ワイパーのゴムの部分が夜のうちに凍り付き、雪を払おうとワイパーをそのまま動かすと、まったく動かないということがよくあります。
動かないだけならいいんですが、ゴムが裂けたり、最悪ワイパーのモーター部分が故障することもあります。
通常のワイパーよりも割高ですが、事故や故障のことを考えると、事前に対応しておきたいですね。
氷点下でも凍らないウォッシャー液
豪雪時でも活躍するのが、解氷使用のウォッシャー液です。
冬用のワイパーを使用していても、端に集められた雪がヒーターの熱で溶けるには多少なり時間がかかります。
環境にもよりますが、溶けない雪が徐々に大きくなりワイパーの可動範囲が狭くなるということもあります。
そんな雪を溶かすサポートをしてくれるのが、解氷使用のウォッシャー液です。
解氷使用のウォッシャー液には、エチレングリコールやイソプロピルアルコールといった解氷成分が含まれていので、冬用ワイパーとあわせて使用すると効果大です。
固まった雪をいちいち停車してとるのは大変です。
できれば予備も用意するイメージで準備しましょう。
寒さに強い低粘度のエンジンオイル
日本の気候でエンジンオイルが凍るということはほぼないといわれていますが、氷点下で運用する場合はエンジンの始動性が低下する原因となります。
エンジンがかかりにくくなるということは、バッテリーの負荷も大きくなるので、長期間氷点下で車を使用する場合はエンジンオイルも寒冷地向けにした方がいいでしょう。
エンジンオイルの交換により、バッテリー寿命の延長や燃費の低下も見込めるので、使用する環境によってエンジンオイルの交換をするのが効果的です。
バッテリーやタイヤのチェック
こちらは寒さ対策というわけではありませんが、日々のメンテナンスとして実施することが雪道対策になるという意味合いで掲載しておきます。
タイヤの場合、スタッドレスタイヤにするのはもちろんですが、空気圧や溝の深さ、スリップサインやひび割れはないか、変形していないかなどをチェックしておきましょう。
バッテリーは寒さに弱いです。
それは、バッテリー内部の放電・充電が気温の低下に影響するからなんです。
バッテリーについては、なかなか素人では対応できないので専門の方にチェックしてもらうことをお勧めします。
もれなく新品交換を迫ってくるかもしれませんが、バッテリーの交換目安は2年から3年といわれているので、心当たりがあるなら交換しましょう。
緊急時に活躍するアイテム
ここまでは、雪道を安全に走行するために必要な最低限の装備をご紹介してきましたが、ここからは「もしも」のときにあったら助かるアイテムのご紹介です。
スタッドレスタイヤに履き替えていても、冬用装備にしていても、自然を相手にした場合は確実ということはありません。
また、自分は安全運転していても他の人が事故を起こす場合もあります。
事故に巻き込まれるのは嫌ですが、事故を起こして立ち往生している人を、そのままにするのも気が引けますよね。
そういった際に活躍するのが次のアイテムたちです。
ブースターケーブル
ブースターケーブルは車のバッテリーあがりを改善するための装備です。
こちらはまさに救助に近いイメージですね。
バッテリーあがりになっている車に、他の車のバッテリーから電気を分けてエンジンを始動するという仕組みです。
基本的にはロードサービスなどを活用したほうがいいトラブルなので、なくてもいいのですが、これで救われた人も多くいると思います。
ちなみに、ブースターケーブルは車の排気量でケーブルの太さが変わってくるので、すべての車に対応するなら120アンペアのケーブルが必要になります。
なお、専門知識がない状態でブースターケーブルを使うのは危険なので、不安があるときはロードサービスに依頼しましょう。
ジャンプスターター
ジャンプスターターは、最近のモバイルバッテリーの進化で劇的に変わったアイテムです。
ブースターケーブルは他の正常な車が必要でしたが、ジャンプスターターはモバイルバッテリーを電源としてエンジンをスタートさせます。
こちらも車の排気量でモバイルバッテリーの容量は変わってきますが、人に迷惑を掛けなくていいので嬉しいですよね。
ブースターの場合は、助けてくれる優しい人ばかりでないのがネックなんですよ。
また、モバイルバッテリーなので当然のように他の充電にも使えます。
いまはブースターケーブルよりもお勧めかも知れません。
牽引ロープ
牽引ロープもなかなか使うことのないアイテムですが、雪山を走る人は結構トランクに入っている装備です。
ただ、牽引ロープを使える人はそもそも車に精通している人が多いので、使用する場合は「助ける側」であることが多いと思います。
もしもの場合に備えてトランクに積んでいても、不安な場合は使用を控えましょう。
取りつける場所や牽引するコツなどもありますから、素直にロードサービスを活用しましょう。
下手に使うと事故に繋がります。
スタックヘルパー
スタックヘルパーは、雪や泥などにハマって動けない状態から脱出するためのアイテムです。
雪や泥のぬかるみにはまると、タイヤが空回りして推進力を削がれます。
そんなときに雪や泥のうえに敷くことでタイヤの回転力を地面に伝えます。
単独のスタックの場合は、このスタックヘルパーが活躍します(牽引車があればより素晴らしいです)。
最近のものは折り畳みで丈夫な商品も多いので、車の片隅に搭載しておくと安心ですね。
あると嬉しいサポートアイテム
雪道を走るために無くてはならない装備品と、もしもの備えをご紹介しましたが、ここからはあると嬉しいサポートアイテムをご紹介します。
特に長時間足止めされるような場合は、ちょっとした装備の差で精神的にも体力的にも変わってきます。
雪道の走行が確実な場合は、できるだけ準備をしておくといいですね。
解氷・霜取りスプレー
解氷・霜取りスプレーはフロントガラスなどに付いた雪や霜をとる際に活躍してくれます。
冬用ウォッシャー液でもご紹介した解氷剤が含まれており、冬場に凍結してしまったフロントガラスを短時間で解氷してくれます。
また、これらの解氷・霜取りスプレーを使用することで再凍結を予防する効果も発揮してくれます。
冬用ウォッシャー液があれば、同じような効果が得られますが、朝一の乗り出しの際にはあったほうがいいでしょうね。
スノーブラシ・スクレーバー
スノーブラシやスクレーバーは、車体のうえに積もった雪や氷などを取り除く際に便利なアイテムです。
雪の多い地域では、確実にあった方がいいアイテムですね。
ちなみに、スノーブラシは「柔らかい雪」を、スクレーバーは「氷状に硬くなった雪」を落とします。
基本的に一体化した商品が多いので、雪か氷にどちらを使うかを間違わなければ問題ありません。
ゴムでできたヘラ状の方が氷
というように覚えておけば大丈夫でしょう(説明書も見て下さいね)。
ちなみにおススメは持ち手に滑り止めのグリップがあるものや、伸び縮みするものがいいでしょう。
作業中に滑って車体に擦ったり、短くて届かないといったストレスが軽減されますよ(寒い中では辛いです)。
雪かきスコップ
雪かきスコップも車載できる折り畳みの小型タイプがあります。
アウトドアなどで使用する金属製の折り畳みスコップもないよりはマシですが、軽量で幅広の雪かきスコップと比べると使用感は全く違います。
これは自宅の雪かきなども同じですが、金属製のスコップと雪かき専用スコップとでは体力の消耗が違います(体感では3倍は違うかと)。
車に搭載しておく雪かきスコップを検討される場合は、まずプラ製を検討するといいでしょう。
防寒手袋&長靴
防寒手袋と長靴は、ちょっとした解氷作業からスノーチェーンを巻いたり、本格的なトラブル対応まで幅広く活躍してくれます。
正直、防寒手袋と長靴があるかないかで、まず作業へのモチベーションが変わるので、取り掛かりの早さも違います。
また、手先足先が冷たい状態で慣れない作業をするのは辛いですし、失敗することも多くなってしまいます。
作業後の状態も大きく変わってきますから、防寒手袋&長靴だけは特別に用意して下さい。
強く、強くお勧めします。
各種防寒具
各種防寒具は、もしもの際に活用する寒さ対策です。
キャンプなどアウトドアが趣味の方であれば寝袋などが最適ですが、そういった趣味がない人でもブランケットや毛布などがあるとかなり違います。
雪山へ遊びにいくとか、いつもの通勤場所が大雪になるような場合は、毛布などを積んでおきましょう。
雪かきの作業などを考えると靴下のかえやタオルなども複数枚準備しておくといいですね。
これらは特別に買う必要はないと思うので、是非用意したいところです。
簡易トイレ&お水&非常食
お水、非常食も自宅にあるようなもので代用可能ですが、簡易トイレについては専用のものを用意しましょう。
車用の携帯ミニトイレは数百円から数千円まで幅広くありますが、性別や車種によって大きく変わってきます。
おススメはニオイ対策をしっかりしているものです。
また、車外で使用することを考えるのであれば、小さな簡易テントもあった方がいいでしょう。
ちなみに、こういったトイレやお水、非常食などはあって困るものではありませんから、常に車内に常備しておくほうがいいですね。
搭載量によっては燃費が変わる場合もあると思いますが、燃費が変わるほど積載することはないと思います(人によります)。
やってはいけない注意点!
ここまでの話で重複してしまう部分もあるかもしれませんが、寒さ対策でやってはいけないことを伝えておきます。
経験がないと、焦ってやってしまうNG行動を2点ご紹介します。
フロントガラスの凍結に熱湯(40度以上)はNG
フロントガラスが凍ったとき、お湯をかけて溶かせないかを考えるものです。
このとき、絶対にやってはいけないのが40度以上の高温を使ってしまうことです。
45度程度であれば、移動する際に冷めるかもしれませんが、
お湯を沸かすときって、グツグツ沸騰してから気づきますよね。
その熱湯を、慌ててそのままフロントガラスにかけてしまうと、熱膨張によりガラスが割れる可能性があります。
特に運悪くフロントガラスに小さな傷などがあると、かなりの確率で傷が大きくなります。
飛び石による小さな傷が肉眼で分かる大きな亀裂になるんです。
そして、更に運が悪いと割れます。
と、運のはなしになってしまいましたが、熱湯をかけなければ問題ないので、そこに気を付けましょう。
凍結しそうなときはワイパーを立てる!
冬用ワイパーの紹介で、凍結したワイパーを使用するとどうなるかを簡単に説明しましたが、ゴムが破けたり、モーターが壊れたりと、地味に費用がかかります。
そこで「やってはいけない行為」というのは、
凍結が考えられる場合は、「ワイパーをそのまま寝かせておいてはいけない」ということです。
寒い地域では当たり前のことなので、
「やってはいけない行為」というと大げさですが、習慣にない人からすると忘れがちな案件です。
凍結するような寒い地域ではワイパーは立てる!
これを基本にしていただければ、凍結する地域ではワイパーを寝かせておくのはNG行為となります。
※寝かせていたときは「解氷・霜取りスプレー」などが活躍します。
最後に
日本の四季は素晴らしく、冬の寒さも美しい景色やその時期だけの楽しみがあります。
できれば、
その楽しみを満喫するためにも、事前に準備できることはしておきましょう。