お正月にみかける門松ですが、「お正月に飾るもの」という当たり前の風景になっていませんか?(私がそうでした)。
お雑煮やおせち料理にも沢山の意味がありましたが、この門松にもやっぱり深い意味が存在したんです。
この記事では、お正月の風景として飾られている門松の由来やその存在の意味について探究しています。
門松を飾る理由は「神様を迎える目印」
ズバリ!、門松を家に飾る理由は「神様を迎える目印」とする為です。
これは、そもそも「お正月は神様を迎える行事」であるという前提があるからです。
おせち料理にしてもお年玉にしてもそれぞれにお正月に来られる神様と関係があるんですね。
ちなみにこの神様は「年神様(としがみさま)」と呼ばれる神様で、新年に訪れた家庭に幸福を与えてくれるといわれています。
この年神様は子孫繁栄や五穀豊穣に深くかかわる神様とされており、おせち料理にみられる各種ゲン担ぎなども「年神様と一緒にいただく」ことを目的としているようですね。
門松は、この年神様が迷わず来られるように自宅の目印とするわけです。
門松の素材「松・竹・梅」
門松に使用される素材は主に三種類、松と竹、そして梅です。
それぞれが縁起物の松・竹・梅ですが、人によってはこの三種の名前を聞くと「松が一番縁起いいのかな?、門松だし」と思うかもしれません。
ですが、本来の松・竹・梅にはこういったランクのような考えはなく、それぞれが縁起物として扱われています。
こういった「松竹梅=ランク」といった考えは、寿司屋や蕎麦屋といった飲食店で「特上・上・並」といったメニューの差を分からなくする方法として使われたものが定着した結果です。
ちなみに門松という名前は、本来「松」がメインの素材だったからです。
松は常緑樹で冬でも青々しているので「生命力が強い!」と思われていたんですね。
そこに「神様が宿っている」と当時の人は考えたということです。また、中国では不老長寿や繁栄の象徴とされており、正月に松を飾る文化はそこから伝わったということです。
近年は竹が中心に
縁起物の松を飾ることから進化していく門松ですが、鎌倉時代以降は竹も飾られるようになり、いまでは中心で目立っていますよね。
松と同じく縁起物の竹は、折れにくく成長の早い竹を生命力や成長と捉えられてきました。
そんな竹ですが、よく見るとデザインが微妙に異なることがあります。
これらの違いは、門松のことを詳しく知らない人からすると「ただのデザイン違い」と思えますが、あるルールから家主の願いが込められているんです。
竹の本数は3本が定番
門松のデザインの違いに気づいてあなたはなかなか違いの分かるお人です(私は分かりませんでした)。
基本的に門松は竹が三本で作られます。
これは結婚式のお祝いと同じで、仲を取り持つ縁起のいい数字、割り切れない数字の配慮になります。
割り切れない数字は3の次に5もありますが、あまり見かけませんよね(ご祝儀と同じで…)。
ということで、まず一つ目の注目ポイントは竹の本数でした。
竹の並びで意味が変わる
竹の本数は3本が定番でしたが、ここからさらに変化があります。
3本の門松の場合、使われる竹は7:5:3の比率の竹が使われます。
縛られると順番に下っている感じになっていますよね。
このとき注目するのは7:5:3の竹がどのように配置されているかです。
基本配置は外側、中央(奥か手前)、内側となりますが、ここに何が配置されているかをみていきます。
5:7:3「出飾り(でかざり)」
なにかの陣形のようですが、このように外側に5の二番目の長さの竹、中央奥に7の一番長い竹、内側には3の短い竹を置く配置を「出飾り」といいます。
この出飾りが一番よくみかける門松かもしれません。
この出飾りに込められた意味は、親が子供に向けた独立祈願や結婚祈願を表しています。
また、医療機関などでも患者さんの早期退院などを願い飾られるようですね。
個人のご家庭でこの門松が置かれている場合は、まだお子さんがいるご家庭なのかもしれませんね。
7:5:3「迎え飾り」
この「迎え飾り」は並びがかわり、外側に7の一番長い竹、中央手前に3の短い竹、内側には5の二番目に長い竹を配置します。
出飾りが「はやく出てもらいたい」という意味に対し、この迎え飾りは「福を呼び込む」意味を表します。
個人のお宅であれば、子供やお孫さんを望むご家庭が「子宝祈願」の意味合いで飾り付ける場合があります。
また、商業施設では「お客様が入るように(お金をもってくる)」という意味合いで飾りを行います。
こういった意味を知ると、飾られた門松をみてその家の家長の願いがくみ取れますね(あまり個人宅を詮索してはいけませんが)。
竹が切られていないことも?
門松の竹といえば、斜めに切られていることが多いですよね。ですが、斜め切りされていない竹を使った門松もあるんです。
門松の竹を斜めに切る、切らないにも理由があるんですよ。
斜め切りの「そぎ」
よく見かける斜めに切られている竹の門松、この斜め切りは「そぎ」と呼ばれています。
この「そぎ」には福を招く意味合いが込められています。
切られた竹を正面からみると笑った口のように見えますよね(みえません?)。
そこから「笑う門には福来る」という諺にかけて福を招く願いに繋がっています。
真横切りの「寸胴(ずんどう)」
寸胴はあまり見かけないレアな門松ではないでしょうか。
製作途中の失敗作ではありませんので笑っちゃいけませんよ。
この寸胴に込められた願いは、「お金が詰まる」を意味します。
竹って節ごとに空間がありますよね。かぐや姫が入っていたところです。
そこにお金が詰まる=商売繁盛の願いを込めた商業施設が飾ることが多いんです。
この寸胴門松はなかなか見かけないように思うので、飾ってあれば是非SNSで拡散して下さい。
そうするとその施設の願いも叶いますし。
隠れたこだわり縄の巻き方
各所に願いがこめられた門松ですが、通常見えない場所にも意味があります。
それは竹を固定する縄です。
先にご紹介した竹の長さには、長い竹7が男性、短い竹3は女性、中間の竹5が仲を取り持つ意味をもっており、それぞれ縄を巻く回数が変わります。
長い7の竹は7回巻き、短い3の竹は3回巻き、中間の5の竹は5回巻きになります。
この縄が巻かれている部分は、あまり見えない部分ですが、もし購入する際にこの巻き方が違うのであれば、ちょっと購入を見合わせた方がいいかもしれませんね。
隠れた部分にも意味があり、こだわりを持っているのが日本の美徳というやつです。
門松は雄雌で一対
ここまでは単独門松のこだわりについて触れましたが、基本的に門松は二つセットあり門の左右を飾ります。
このセットは雄松(おまつ)と雌松(めまつ)とあり、それぞれを配置する場所も決まっています。
見分け方としては、雄松は黒松が使われ樹皮が黒っぽく、葉が太く、固く、長い特徴になります
雌松は赤松で樹皮が赤っぽく、葉が細く、柔らかく、短い特徴になります。
ただ、竹や松の特徴を見分けるのはなかなか困難です。
そういった場合、お花の飾りがあれば分かりやすいです(ない場合もあるので注意)。
お花がある場合は、白の葉牡丹があれば雄松、赤の葉牡丹があれば雌松です。
ただ、地域やメーカーにっては変化することがあるので、気になる方は販売元に確認するようにして下さいね。
雄松、雌松の置き方
雌松と雄松がわかったら門に飾りますが、ここでもルールがあるので、神様が迷わないように正しく設置しましょう。
門に向かって左側に雄松、右側に雌松を飾ります。
ただ、これらは基本的なルールです。
地域によっては変わりますし、設置場所の広さなどでは単独の場合もあるようです。
また門松のオーダーなどもできるので、こだわればいろいろできますよ。
門松の期間など
門松を詳しく知っていくと、自分でも飾ってみたいと思いますよね。
そんな方に門松を「出す日、しまう日、期間」などをお伝えします。
縁起物は細かなルールがあります。ひな祭りの人形を仕舞うのもそうですよね。
門松をだす場合は、12月13日以降であればいいとされています。
ですが現在はクリスマスがあるため、飾りという意味合いではクリスマス以降に飾る人が多いです。
飾り付けしてはいけない日
ここで注意が必要なのが、クリスマス後の29日と31日です。この日に設置することは避けましょう。
というのも、29日は「9=苦」となり、ここから「九松(くまつ)」という言葉もできるほど縁起が悪いとされます。
また「29=二重苦」とも読めるので縁起悪いですよね。
31日に飾るのは、「一夜飾り」といわれ縁起が悪いです。
これは不幸があったときに行う作法で、縁起物の門松には相応しくないです。
折角門松を飾るなら、この29日と31日は避けて行いましょう。
片づける時期は?
門松を片付ける日は地域によって変わりますが、基本的に関東は7日、関西は15日とされます。
本来門松を飾る期間は「松の内=小正月」の間なので、松の内が終わる1月15日が片付ける日ということです。
昔ながらの伝統を守っている京都などは、やはり15日まで飾ります。
関東の7日は、江戸時代に幕府の命令で短縮されたということです。
まとめ
門松に秘められた意味などを知ると、町での門松を発見したときに楽しくなりますね。
また自分で門松を飾るならば、是非ともこだわってメッセージを届けたいものです。
注意するのは飾るのにNGな12月29日と31日、また雄松と雌松の配置ですね。
当たり前になっている日本の風景にも沢山の願いが込められています。
是非次のお正月には門松を飾ってみてはいかがでしょうか。