寒くなってくるとニヤリと笑みを浮かべるのが薪ストーブユーザーというものです。
かく言う私も薪ストーブ歴8年に突入するユーザーなんですが…、この8年間で実際に使用したのは200回もありません。
一軒家をログハウスで建てたので、当然のように導入した薪ストーブ、初年度は嬉しさもあり使用頻度も高かったんですが年を追うごとに少なくなり、一度も使わない年もあったという…。
それでも楽しいのが薪ストーブです!
今シーズンはしっかり薪集めも出来たので、数年前に仕込んだ薪もガンガン燃やせます。いや~楽しみ。
と、いまはあるので趣味として使っていますが、いま新たに購入するかといわれると微妙かもしれません。
この記事では、そんな薪ストーブの「良い悪い」をひっくるめた真実をお伝えします。
薪ストーブ導入で後悔しないために必見です。
薪ストーブは楽しい!
ハッキリ言って、薪ストーブは楽しいです。
焚きつけに火をつけて、少しづつ炎を大きくしていく過程はワクワクするし、大きな炎の揺らめきはなんだか癒されます。
しっかり温まってくると半袖でも汗ばむ感じが嬉しくって、
「やっぱり薪ストーブの暖かさは違うよね~」
とか言っちゃいながらビールを飲みつつ、ストーブにジャガイモなんかを入れちゃいます(サツマイモよりジャガイモ派)。
寝る前に火が小さくなってくると、ウイスキーグラスなんかを片手に小枝を入れてプチ焚き火。
あ~、至福のとき。
翌日には残った火を自作の火吹き棒で空気を送り込み、炎を復活させてパンを焼きます。
あ~、楽しい。
薪ストーブがあると、本当に楽しいですよ。
薪ストーブは趣味
こういった薪ストーブの楽しさですが、まだまだ趣味の領域はでていません。要するに楽しさ運用ということです。
これが冬の暖房で毎日使用するとなると話は別です。
一日に消費する薪の量は、趣味で燃やすにしても相当量必要です。それが毎日になると、薪を作るにしても買うにしても、置き場所一つとっても大変です。
ちなみに薪の量をなかなか明確に記せないのは、薪の品種や乾燥度合い、燃やし方などの条件で大きく変わるからです。
地域にもよりますが、1シーズンを薪ストーブで乗り切るためには2トンから3トンは必要になります(住居の広さでもかわりますよ)。
ですから、薪ストーブはあくまでも趣味の領域なんです。
薪ストーブの価格もろもろ
薪ストーブが趣味という前提から、「じゃあ、その趣味にいくらかけてんの?」という疑問が浮かびます。
ゴルフやサーフィン、釣りや車でも、何をするにしても少なからず趣味にはお金が必要ですからね。
薪ストーブにかかるコストとしては、初期費用として100万~200万円がかかります。
薪ストーブ本体に半分、煙突や防火レンガなど、その他の施工や備品で半分というイメージでいいでしょう。
最近ではホームセンターなどでも販売されていますが、サイズや素材など考えると長期的に使用できる商品は少ないようです(小屋などの簡易暖房としてはいいかも)。
DIYが得意な方であれば、50万円くらいでできるかもしれませんが、安全のためには専門家に相談した方がいいですね。
また、趣味にしても本気にしても屋外に薪棚は必要です。その場合は使用頻度にもよりますが、合計6畳以上のスペースは欲しいところです。
薪を完全購入にする場合は、もう少し狭くても大丈夫です。これらのスペースに薪棚を設置します。
自分で作るなら材料費が、業者に依頼するなら施工費が発生します。なお、初年度は薪購入になるはずなので、それも+αされます。
ランニングコスト
初期費用は「薪ストーブで楽しみたい!」という目的がありますから、設置したいと思っている方は問題なく払えますよね。
問題は趣味として、ランニングコストをどのように捉えるかです。
薪ストーブのランニングコストは、薪作りの労力や時間投資といえます。これらをお金で解決する方法もありますが、それはそれで高額な趣味といえます。
お金で解決する場合は、薪の購入と煙突掃除の依頼といったところです。
これを自分でするとなると、薪を探したり、薪をとりに行ったり、薪を割ったり、薪を移動させたり、煙突掃除をしないといけません。
ハッキリ言って、しっかりスケジューリングして取り組まないといけないレベルです(かなり重労働なので)。
これらを、人とのコミュニケーションから薪を譲ってもらうことを喜びと感じたり、山に入ってチェーンソーで木を切り出すことに快感を覚えたり、薪割りで広背筋がムキムキになるのを楽しんだり、乾いていく薪を積み替えて点描アートにしてみたり…。
それぞれに楽しさを見出して、「冬の薪ストーブ」に繋げられる方なら、間違いなく趣味として薪ストーブを愛することができるでしょう。
薪集めを体験して下さい
ここまでみて「自分は薪ストーブ向いているかも」と導入検討している方、まだ待って下さい!
薪ストーブ導入をする前に、一度薪ストーブ生活を体験することをお勧めします。薪ストーブのあるモデルハウスにいくのもいいでしょうね(私はBESSで虜になりました)。
ただ、薪ストーブを体験するなら一年する薪集めをするのが一番いいでしょう。これがもっとも流れが分かります。
もし薪集めの体験をしても「やっぱ薪ストーブ欲しい!」と思えるなら、薪ストーブを導入すればいいでしょう。
一年薪探しをすると多少なり薪も集まりますし、ルートも確保できる可能性もありますから無駄にはなりませんからね。
※お金で解決派は設置して嫌ならやめましょう(それもお金で解決できるので)。
危険と隣り合わせの作業たち
薪ストーブを導入する前に薪集めを体験するのは、そういった作業を継続的にできるかを知る意味が強いです。
これを知ることで、完全にお金で解決に移行してもいいでしょうし、私のように「気が向いたら集めに行く」でもいいでしょう。
100万円以上の初期投資を、1シーズンで簡単にやめても惜しくない人は別ですが、私は100万円は結構大きい金額だと思っているので、お勧めしています。
ただ、これらの作業はなかなか重労働な内容が多いですし、命に関わる危険もあるので注意して下さいね。
※ここからは趣味で薪作りをする人ようです。お金で解決派は必要ないかもしれません。
薪探し
薪は購入すると意外と高額です。無料で集めない限りは灯油ストーブなどの方がコスパはいいでしょう。
ということで薪を無料で集めるにはどうするか、これは材木屋さんや建築関係の方と知り合いになったり、山を持っている人、林業関係の人と人脈を築くことです。
また、選定時期や台風の後などは市役所などにお知らせで薪用倒木の配布などもあります。
私は山沿いの道路などで木を切っている人がいれば声をかけていますね。
薪の切り出し
この切り出し作業はチェーンソーを使用するので、はじめての方にはハードル高めです。ですから知り合いがいれば同伴で、いない場合は諦めましょう。
ただ、建築資材や台風などの倒木をもらうにしても、いずれはチェーンソーを使います(楽なんで)。
山に入って切り出さないのであれば、最初はホームセンターで売っている電気式のチェーンソーでも十分使えます(2万円しません)。
チェーンソーを購入したら、目立てなども体験することができます(安い方が気軽に試せますよ)。
これらは一つ間違えると命に関わることですから、できれば人と一緒に、そして安全装備への投資は怠らないようにしましょう。
薪割り
薪割りも実は危険な作業なんです。慣れてる人の動画などを見ているといとも簡単に割っていますが、薪の乾き具合や節の入り方、斧の状態によっては全く割れません。
割れないだけならまだいいんですが、何とか割るために全力で叩いたら斧が跳ね返って自分に直撃…。なんて目も当てられませんよね。
また、薪割りでよくあるのが腰痛などの体の痛みや割った薪が飛んで行って何かに当たるなどの物損被害です。
自宅で薪割りをするなら、しっかり場所の確保が必要ですね。
薪積み
割った薪をするかはオーナーによっていろいろですが、場所が狭い場合は移動させないといけません。
割ったばかりの薪は雨ざらしに3~4カ月、それを一年目の棚に移動させて、二年目の…とかです。
場所があれば、ここは何年物、ここは今シーズンのものと区切っていればOKです。
私は使用頻度が少ないのでそこまで使いませんが、薪用に6スペース、焚きつけように2スペース用意しています(1スペース1畳程度)。
それでも道路から人にみえるところは満タンにしていたいので、シーズンごとに良い感じに積み替えています(趣味なので)。
煙突掃除
煙突掃除はトップまで掃除すると高所作業になってくるので素直に業者に依頼でもいいんですが、煙突内だけなら自分で出来ます。
ただ、これについては設置されないと体験できないので、薪ストーブを持つ知り合いに教えてもらうか、設置されている展示場に話して見学するか、
私のように一度は業者に依頼して動画に収めるかなどしましょう。
ボディブローのような地味なダメージ
ここまで薪ストーブ導入前に体験して欲しい項目を伝えてきましたが、これらをしていく中で地味ながらダメージをもらう事柄をご紹介します。
平気な人は平気かもしれませんが、嫌いな人は薪ストーブの導入はお勧めしません。
夏場の虫たち
薪を採取するにしても、庭で薪割りをするにしても、ただ薪を置いているだけでも、夏場は虫のカーニバルです。
特に気を付けたいのは切り出しの際のスズメバチ、ムカデ、マダニなどです。
スズメバチは派手ですから逃げることもできますが、切り株に座ったところにムカデとか、作業した2日後に足の指の付け根にマダニが噛みついてるとか、普通にありました。
まだスズメバチには刺されたことはありませんが、あの重低音のヴォーーーーンという羽音は恐ろしいの一言です。
また、ムカデにはこの8年で3回噛まれました。なかなか痛いですし、痺れますよ。ただ処置方法も習得しているので病院には行ったことはありません(皆さんはすぐ病院へ行きましょう!)。
そしてマダニ!、ペットと暮らす方はご存じかと思いますが、マダニに噛まれると様々な病気なる可能性があります。なかでも恐いのが数種類の感染症です。
地味ですが、なかなかのダメージです。
※薪置き場の場所が割り場合は白アリ被害も考えられます。
冬場のカメムシ
これは地味、本当~に地味なんですが薪の隙間に潜って冬眠しているカメムシが地味にダメージです。
カメムシは薪の皮や割れ目の隙間などで冬眠することがあります。そのことに気づかず室内に薪を持ち込むと…。
薪ストーブで部屋がホクホクに温まると奴らは目覚めます。真冬でも室内が暖まるとブンブン飛びまわります。
上手に処置しないと勿論、においます。
薪ストーブ関連の苦労も楽しい?
この他、運搬時に汚れた掃除や薪の虫食いなど地味なダメージは多いですが、それらもひっくるめて楽しめれば冬の薪ストーブは最高です。
人からみれば「ただの燃料」である薪も、自分で採ってきたものであれば、「これはスズメバチに追われたときのコナラだ」とか、「これは選定ででた桜だ、お~香りが違う」といったように面白いです。
ですから、薪ストーブは趣味として最高です。
一年を通した活動のすべてが、冬のまったり薪ストーブタイムの伏線ともいえるんです。
土地によっては裁判沙汰に
最後に嫌なことですが、念のため伝えます。薪ストーブは地域によっては設置してはいけない場合もあります。
また、法律的には問題なくても近所の人に迷惑がかかってしまうと後々問題ですよね。
私の場合は住宅地ですが、数軒薪ストーブを使用している方がいるので冬になると独特の香りが漂います。これが好きか嫌いかが運命の分かれ道ですね。
ネット内では煙やにおいなどで裁判沙汰にもなっているようですから、その辺りは冷静に周囲の意見を取り入れて下さいね。
まとめ
纏めると、「薪ストーブは趣味として最高!」ということです。
本気の暖房器具として使いたい方は、山をもっているとか材木店を営んでいるとか、そういったルートを確保しないと難しいと思います。
また、お伝えした作業には危険を伴うことも多く、害虫たちとの闘いも必ずあります。
これらを踏まえて薪ストーブを導入したいと検討している人は、是非一年間の薪集めを体験してください。
嫌になるか、もっと好きになるかの二択になるはずです。
集めた薪は無駄にはなりませんしね。
薪ストーブを趣味にしてスケジュール感を持って取り組めば1年はすぐに経過します。
是非一度試してみてください。