誰もが必ずお世話になっている「排水トラップ」、でもあまりその存在に注目することはありませんよね。
ですが、そんな排水トラップが注目を集めた事故が、2003年に起こりました。
この事故は海外で起こったもので、ご存じない方もいるかもしれませんが、いま広がっている感染症への対策にも繋がる内容なのでシェアしておきます。
ちなみに、この事故は主にマンションなどの多高層の建物になります。
排水トラップの役割
排水トラップは、水洗などのしたにあるU字やS字の形をした配管のことです。
役割としては、下水などの悪臭や虫の侵入などを防ぎます。
S字やU字になった部分に水がたまって、臭いや虫、ネズミなどの害獣をシャットアウトするんですね。
古い建物で、長いあいだ水が流れていないような場合に臭いがでたり、コバエが発生するなどは、トラップに水がなくなっている可能性があります。
この場合は水を流してやればトラップが機能して臭いや虫を防ぎます。
SARS集団感染
この排水トラップが世界で注目を浴びた事故として、2003年の「SARS集団感染」があります。
この事故は海外のタワーマンションで起こりました。
SARS(重症急性呼吸器症候群)は、中国や台湾など32の地域で確認された「指定感染症」です。
SARSもコロナウィルスが変異したものといわれています。
この恐ろしいSARSが、タワーマンションの下水管から漏れ出し、配管が繋がってる部屋に住む人たちの多くが感染するという事故になったのです。
排水トラップには定期的に水を流す
この事故の主な原因は二つありました。
一つは、下水管内の圧力調整パイプに割れがあったことです。
これについては、なかなか個人では対応できないことなので定期的なメンテナンスに頼るしかありません。
もう一つは、排水トラップの水が蒸発していたという事実です。これには背景に生活習慣があったようです。
事故のあったマンションでは、バスルームの掃除をモップで済ます家庭が多かったようで、水を流す習慣がなかったんです。
そのため、バスルームに設置されている排水トラップの水が蒸発して、下水から臭いや虫、そして感染症の飛沫までもが流入してしまったと考えられています。
排水トラップに水を流す。
簡単なことですが、これだけで下水からの流入を防げる可能性が高くなります。
「なんだか臭うな」と思う水道設備は一度水を流して様子をみましょう。
それでもなおらない場合は業者に相談しましょう。
感染症はすべて同じ
SARSにしろ、現在広がっている感染症にしろ、飛沫感染するものはどこからか侵入する可能性があります。
その経路の一つに「排水トラップ」があるということです。
なお、この事故はマンションなどの多高層の建物ですが、下水から流入することを考えると地域や住宅環境によっては、戸建てでも考えられるでしょう。
汚水から発生する臭いや飛沫を防ぐ排水トラップは水があってはじめて機能します。
使用頻度の少ない排水トラップには、定期的に水を流しましょう。
まとめ
この事故は海外で起こりましたが、日本でも感染症が広がっているいま、知識としてしっておいて損はないでしょう。
排水トラップに水をためる。
簡単なことですが、これだけで下水からの飛沫流入対策になるなら絶対にやってほうがいいですね。